認知症になったローズの叡智

配信期間:2022年9月3日 0:00 − 11日 24:00(日本時間)日本限定配信
(視聴スタートから72時間配信、税込$880円/6.5 USD。期間中に視聴を開始いただければ、期間が過ぎても72時間は戻ってご覧になれます。
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日本プレミア前のスニークプレビュー!!(日本限定で先着50名のみ視聴可能)

監督:リア・タジリ(Rea Tajiri), プロデューサー:シャーン・エヴァンス, カメラ:出演:ローズ・タジリ他。

観賞後の感想大歓迎。Vimeo視聴サイトでコメント、非表示をご希望の方は info@unoportartfilms.orgへメール、または観客賞の投票フォームで感想を書けます。制作者に届けます!

映画監督のリア・タジリの母親ローズは、70歳代で夫を亡くして以降、認知症になった。第2次世界大戦中に日系人強制収容所に入れられていた日系2世のローズは、3世の子どもたちにさえ多くを語ることはなく、彼女の歴史は永遠に謎のままになった。ローズの介護者になったリアは、母親の語りに見え隠れする叡智(えいち)に驚き、その叡智と、時折語られる記憶の残像や作り話を映像を紡ぐ糧としながら、高齢者の意識の中へと瞑想の旅に出る。起承転結のあるストーリーではなく、映画そのものが体験だ。若い頃の流行歌を口ずさみながら、ローズは私たちを、彼女が生きた90年間の時の旅へといざなう。境界線がおぼろげな過去と現在、親と子の意識が繊細に交差する中で、どうしても消えない記憶や、自分の人生の物語を再構築する人間の欲求とが浮かんでは消える。老いること、失うこと、死ぬこと、残すこと、そして成長し続けていくことを、母親の介護の16年を通して、やさしくユーモア豊かに綴った感動的な作品。認知症の介護のかたちについて、考えさせられる。

作品の背景 監督からの言葉
私の母は1999年に血管性認知症と診断された。それから16年間、私は、母の人間性と、その時々の認知レベルに敬意を払いながら、介護し共に時間を過ごすにはどうしたらいいかを模索し続けた。仏教の教えや、母がずっと大好きだったビジュアルアートにヒントを求めたり、定評のある老人学者に相談しながら、アプローチを徐々に変えていった。ただシンプルに、母の話にしっかり耳を傾けることで、私は母の世界に入り母の心を追えるようになった。それで2人がつながって、力関係も変わり、私は「ケアギバー」(介護をする人)から「ケアパートナー」になることができた。私たちはお互いに面と向かって話すのが苦手だったから、私が若い時から、そして母が認知症になった後でも、カメラでお互いを撮り合うことでコミュニケーションを図ってきた。私の父はプロのカメラマンだったので、2人とも撮られることには慣れていたのだ。作品には、こうして撮り合ったビデオ映像や、父が撮った写真、私たちがまだティーンだった頃に兄が録音していた母のストーリーテラーとしての一面なども含まれている。日本の観客の皆さんがどう感じるのか、とても興味がある。

[トリビア1] リア・タジリ監督の1991年作品「歴史と追憶」(今作では、若かりし頃のリア監督が、ローズにインタビューされてその話をしている)は、UPAFで過去に上映した作品。これは、日系人強制キャンプの歴史をパーソナルな視点から綴った作品として、アメリカでは現在でも評価が高い作品。今作とセットで見ると、アメリカ日系人の歴史がアート作品としての映画を通じてよく分かる。オンラインUPAFでは、監督の許可をいただき、2作品を特別セット上映。チケット購入者のみが観られるボーナスフィーチャーから、「歴史と追憶」がお楽しみいただけます!

[トリビア2] 美容師だったローズのために老人ホームに美容院のセットを作ったのは、なんと、タランティーノのデビュー以来「キル・ビル」までの全作品から(「キル・ビル」のセットは、同じくプロダクション・デザイナーの種田陽平とのコラボ)、ウェス・アンダーソンの「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」、またデミアン・チャゼの「ラ・ラ・ランド」まで、名だたるアメリカ映画のセットを創り上げてきた、プロダクションデザイナーのデヴィッド・ワスコ(David Wasco)とセットデコレーターのサンディ・レイノルズ・ワスコ(Sandy Reynolds-Wasco)のご夫婦(2016年には、ペアでアカデミー賞受賞)。1983年に若かりしリア監督が「エル・ノルテ:約束の地」のセットで制作アシスタント(初めての映画のお仕事だったそう)として働いた時に知り合った仲だとか。

リア・タジリ( Rea Tajiri、監督) リア・タジリはインタレーション、ドキュメンタリー、実験映画などを制作するアーティスト、また教育者。詩的で非オーソドックスなストーリーテリングの手法で、埋め隠された歴史を掘り出し、それを使って皆が話したり考えたりできる作品作りを目指す。2018年には、いくつかの会場をテーマ的につないで作ったインタレーション「渡り鳥」を制作。第2次世界大戦後に強制キャンプからフィラデルフィアに流れ着いた日系アメリカ人たちの歴史を、現実と空想にもとづいて追いながら、時とスペースを旅するコラージュ作品に仕上げた。2014年制作の映画作品「ロードヴィル」では、毎日の日常に潜むけれど語られない物語、例えば大きな洪水やご先祖たちの秘密、また植民地化の暴力、にスポットを当てて、ある田舎町の歴史を、あったりなかったりする歴史的資料から検証した。テンプル大学助教授。

2022年, 84.5分, ドキュメンタリー, カラー, アメリカ(日本語SDHバリアフリー字幕付き)

https://www.wisdomgonewildfilm.com/ (8月6日にフィラデルフィアのBlackstar 映画祭で世界プレミアし、見事、審査員賞と観客賞を受賞!)